家を建てるにあたって氏神様に安全を祈る「地鎮祭」。
言葉自体は耳にしたことがあるけれど、今ひとつどのようなものかわからないといった方も多いですよね。
そこで今回は、地鎮祭の概要とその流れ、知っておきたいマナーについてまとめてみました。
地鎮祭とは工事の安全と無事な完成を祈る儀式のこと
地鎮祭とは、建物を建築する前に工事の安全と無事な完成を祈ることを目的に執り行われる儀式のことです。
一般的には「じちんさい」と呼ばれますが、「とこしずめのまつり」と呼ばれることもあるんだとか。
そんな地鎮祭には、主に以下3つの意味があります。
- その土地を守る氏神様に土地を利用する許可を得る
- 工事の安全を祈る
- 建物の無事な完成を祈る
必ずやらなければいけない儀式ではありませんが、工事の安全を祈願する意味合いもあることから、基本的には行っておいたほうがよいでしょう。
地鎮祭は吉日に行おう
地鎮祭は六曜の吉日である「先勝」「友引」「大安」のいずれかの牛の刻(11時~13時)に行うのが良いとされています。
なお、六曜とは現代の日本において日付の吉凶を示す一つの指標のことで、「先勝」「友引」「先負」「仏滅」「大安」「赤口」の6つから成り立っています。
とはいえ、参加者の都合や工事関係者の予定によって、必ずしも吉日に行えるとは限りません。
六曜自体が中国から日本に伝わってきたものであり、本来地鎮祭には関係ないことからそこまで気にせずとも大丈夫です。
地鎮祭のやり方とその流れ
地鎮祭当日は資材の設営業者や神主さんが中心となり、これから家を建てる土地に祭壇を設置し、お供え物を備えるといった一連の準備がなされ、そのあとに地鎮祭が執り行われます。
地鎮祭は主に以下のような流れで進むので、一緒に確認していきましょう。
- 手水(てみず):両手を洗い心身を清める
- 修祓(しゅばつ):神主さんが参列者や祭壇を祓い清める
- 降神(こうしん):神主さんが神様を招く
- 献饌(けんせん):神様に奉献酒とお水、お供え物を召し上がってもらう
- 祝詞奏上(のりとそうじょう):神様に新築の安全祈願をし、祝辞を読む
- 四方祓い(しほうはらい):米や塩、白紙によって土地を清める
- 地鎮(じちん):鍬入れや鎮め物を埋める
- 玉串拝礼(たまぐしはいれい):玉串を祭壇に置き、神様に捧げる
- 撤饌(てっせん):お供え物をさげる
- 昇神(しょうじん):神主さんが神様を送り返す
- 神酒拝戴(しんしゅはいたい):安全を祈願して神酒で乾杯する
- 神官退下:神主さんが現場を後にする
なお、このあと直会(なおらい)と呼ばれる食事会を開くケースもありますが、昨今では経費圧縮の観点から省略されることが通例です。
地鎮祭の開会から閉会までの所要時間は大体30分から40分ほどとなっていますが、ずれ込む場合もあるので当日は予定をしっかりと開けておきましょう。
地鎮祭にかかる費用は事前に確認しておこう
地鎮祭の流れがわかったところで、費用が気になる人も多いですよね。
地鎮祭の準備そのものにかかる費用は最初の時点で見積もりに含まれていることが多く、その点に関して追加で負担が生じるケースはあまりありません。
とはいえ、重複して発注・出費をしないためにも前もって施工会社に確認しておくようにしましょう。
一般的に地鎮祭で負担しなければいけない費用として、「初穂料(神主さんへの御礼)」と「奉献酒代」の2つが挙げられます。
地域によって多少の変動はありますが、初穂料が大体2~3万円、奉献酒代が1万円ほどかかると思っておきましょう。
奉献酒については一升瓶二本の清酒を捧げるのが通例です。
地鎮祭で気を付けたいマナーや服装について
ここでは地鎮祭で気を付けたいマナーや服装について、いくつかご紹介します。
地鎮祭後は近隣住民に挨拶をして回ろう
地鎮祭が無事に終了した後、近隣住民に一度挨拶をしておくとよいでしょう。
工事期間中は騒音や振動等が生じる恐れがあることに加え、わかる範囲でそれらが発生しそうな時期も伝えられるとベストです。
また、訪問した際に工事に関して質問をされる可能性もあるので、施主だけではなく担当者や現場監督も一緒にいくとよいかもしれません。
挨拶回りの範囲については、「向こう三軒両隣」といった言葉もあるように家の向かい3軒と両隣2件はもちろんのこと、工事車両や人の出入りが見込まれる家にも挨拶が必要です。
なお、地域によっては自治会や町内会長に挨拶をするところもあるので、地域の慣習にならうようにしましょう。
ラフな格好は控えよう
地鎮祭において、特に服装に決まりはありませんが、基本的にはフォーマルな格好での参列が基本です。
男性はスーツにネクタイ、女性はスカートが望ましいとされています。(学生は制服を着用する)
昨今では普段着で参列する人も増えていますが、神事であることからジャージやスウェットといった格好は避け、清潔感のある服装を心がけるようにしてくださいね。
【おわりに】
時代の流れとともに首都圏では地鎮祭を省略するケースも見受けられるようになりました。
とはいえ、一生に一度経験するかどうかの地鎮祭。
地鎮祭を通じて日本の良さに改めて気づけるかもしれません。
そしてなにより、気に入った土地で末永く安心して暮らせるよう、氏神様に祈念してみてはいかがでしょうか。